こんな静かな夜に
私は一体何をしているんだろう
小さな風が気持ちよくて
小さな歌が心地よくて
このまま眠ってしまえたら
きっといい夢が見れるだろうに
現実(いま)にさよならできなくて
私は私と手を繋いだままでいる
なんにもないのに
私と一緒になることは
これから先も訪れる
相も変わらず空っぽなら
私は一体何をしているんだろう
09.07 (Sun) 08:47
[ 言葉と僕 ] CM1. TB0. TOP▲
朝学校に着いて席に座って、ただぼーっとしていたら
待ちわびる間もなく彼女は教室に入り、席に着く
自分の目の前の。
たとえ見たくないと思っていても……
いや、それはありえなかったがとにかく自分は必ず彼女を視線に入れなければならない。
授業中も、休み時間も
こんな状況ではますます彼女のことばかり考えてしまう。
そうなると面白くもないただ眠いだけの授業でも
自分ひとりはなんだか気楽でいられてしまう。
前後の席だと少なからず会話も生じてくる。
それは所詮コンビニで言う「お弁当温めますか?」程度のものだが
客はなんだか緊張してしまっている。
でもそんな中身のない日常会話だけでも
彼女がとても優しい人なんだってわかった。
そこにシャボン玉のように繊細な笑顔がサービスされていたのなら
毎回心のどこかで何かがはじけるような気がして
せっかく温めたお弁当を店に置いてきてしまっていた。
本当に何もなかった平凡な一日でも
自分ひとりだけは馬鹿みたいにただ楽しくて仕方なかった。
だけど自分の真っ青な秋の空に浮かぶひとつの雲のようなふわついた様子は
外野の連中ははっきりと視野に入れていて
からかわれた回数は数知れないが
あくまでも自分は芸能人のようにしか見てないとばればれの嘘をつき続けた。
体育祭の時も
リレーで自分が走らなければならなくなり
嫌々トラックに立ちながらも
内心では彼女の視線を探してみたり
逆に彼女が走る際には
まったく興味がないふりをしながらも
真剣な目をして走る彼女に釘付けだった。
球技大会の時でも
どこかで注目を引こうとして
運動神経の高い連中に混ざりながら
ドッジボールごときに変にムキになって
とにかくアグレッシブに自分なりにがんばってみたら
奇跡なのか知らないが、彼女は振り向いてくれた
ほんの一瞬だけ。
体育祭も球技大会も制覇した自分のクラスでは
それを祝して打ち上げをすることになった。
自分は周りに上手い具合に乗せられて歌うことになった。
えーなんて言いながらも
あーこれでまた注目引けるかもなんて
初心な小学生みたいな気持ちでいた。
ここ一ヶ月、夢のような日々を過ごしてきた自分だったが
その夢が覚める瞬間というのはあまりにも残酷だった。
打ち上げの4日前、何も知らない自分は鼻歌を歌ってしまうぐらいに暢気だった。
真実というものは知りたくもない時に不意に現れるものだった。
昼休み
彼女は廊下で誰かと話をしていた。
何気なく見たその先には
えらくイケメンな男がいた。
その時の自分には憤怒も感嘆もなかった。
とりあえず自分は何も思わなかった。
それは、彼女が1週間前から付き合い始めた彼氏だった。
今からちょうど1年前
自分は一人の女子のことが気になっていた。
登校途中も、授業中も、自分の部屋でも
気がつけば彼女が自分の頭の中にいたりした。
今思えばこれが恋って言うんだろうけど
あの時の自分はそれを頑なに認めようとはしなかった。
自分はその時、彼女のことを何にも知らなかった。
それでありながら知ろうともしなかった
違う、できなかった。
こういうことに関してはことさらに臆病なせいで
少し話すだけでも妙に緊張していたし
目が合ってしまっただけでもどこかに罪悪感を覚えていた。
結局彼女に関して分かっていることは
ありえないくらい可愛いということだけだった。
ただそれだけで恋に落ちた理由としては十分すぎてお釣りが出るくらいなのだが
自分はルックスだけでは絶対に人を選びたくないという
ルックス=全て みたいな世間の不条理が許せなくて
これが憧れに過ぎないという形に押し固めてしまった。
2学期が始まってすぐに席替えがあった。
自分は何も期待せずに発表を待った。
周りに仲のいい奴が何人かいて
その中にひとつ、可憐な花が咲いていた。
その花は随分と日当たりのいい窓際で
それはそれはこっちもにやけてしまいそうなほどに無邪気に笑う。
しかも、自分の目の前で……。
ここから一ヶ月というあまりに短い時間
自分はあらゆるものを一度に見ることとなる。
おい、てめぇ今何時だと思ってんだ?
そうね大体ね
言ってる場合かっ!まだ何もできてねぇぞ
40秒で支度しな、グズは嫌いだよ
てできるわけねぇだろ
朝飯はちゃんと食っとけよ
バナナ一本ですが何か?
コーヒーどう?
今日はいらねぇ
よっしゃ、かっ飛ばしていくぜ!
おい待て、タイヤの調子が……
知るかよそんなもん、俺は風になってやるぜ!
やっぱりタイヤだめだよね?パンクしてるよね?これ
チクショー、信号の野郎!なんで俺は空飛べねぇんだよ!
いや、だからタイヤ……
ふう、何とか間に合ったみてぇだな
とりあえずセーフ。でもなんか忘れてるような……
そういや今日の日直は俺……俺?俺じゃねぇか!?
……やっちまったな
夏の暑さはどこへ行ったのだろうか
いつの間にか秋の心地よい風が吹き始めていた。
突然の大雨に見舞われたり
曇天が日差しを遮る薄暗い昼下がりを
外の世界を流れる無常の音だけに包まれながら
何をするでもなくただ寝転んでみては
自分の中を空っぽにしてみるのも悪くない。
そんな小さな夢を見せたかと思えば
夏に何か忘れ物をしたかのように
ジリジリとアスファルトを焼きつけるものだから
体は気持ちに反比例して
無駄に疲れるばかりである。
今年の夏はなんだろう。
いつも以上に早く終わってしまった気がする。
何か特別な思い出があったかと問われれば
自身満々にないと言えるくらいに味気ないものだった。
しかしながら心のどこかではいい夏だったなんて思ってしまうから
夏は怖い。
怠惰の権化のようだった夏休みに手を振りながら
自分は2学期の扉に手をかけていた。
思い起こせば1年前。
この時期のことだけは未だ鮮明に記憶に残っている。
景色も、音も、匂いさえも思い出せるほどに。
それはどうしてなんだろうか
ただ楽しかったにしてもここまでに至るであろうか。
では何が自分にそうさせたのだろう。
そうすれば10秒と考えることなくその理由を見つけてしまった。
今思えば馬鹿馬鹿しすぎるそれだが
そのような少し照れくさい想いは今の自分には必要だと思う。
だけど再び得られるのであろうか。
今の自分に……。
疾風の如く駆け抜けた1学期とは違って
まったりとした時間が流れるであろう2学期。
そのせいなのか、自分は自然と窓から空を見ることが多くなったり
普段つい見逃してしまうような細かいことに目が行ったりして
さらにそこから幾つもの可能性を考えたりして
何気ない日常だからこそ特別な思い出になる。
それが明日から始まると思えば楽しみで仕方がない。
また学校へ行くことに喜びを見出せるなら
夏が終わってしまうことに寂しさなんて感じないだろう。
08.31 (Sun) 23:11
[ 反省会 ] CM2. TB0. TOP▲